現代社会において、持続可能な生活様式が求められる中、里山活動の重要性が再評価されています。里山活動とは、人と自然が共生する環境を保全し、未来の街づくりに貢献する取り組みです。
自然の恵みを守りながら、地域社会の活性化を目指すこの活動は、共生社会の実現に向けた一歩となると期待しております。この記事では、里山活動の目的や具体的な取り組みについて紹介します。
里山活動とは
里山活動とは、人と自然が共存し持続可能な生活を実現するために、山や森を手入れし、農林業資源を共有の恵みとして保全し、景観を守る活動です。
里山は、山地と集落の間に広がる農地、ため池、草原、人が管理する森林などで構成されています。この多様な環境が多くの種類の生物を支え、豊かな生物多様性を育んでいます。里山の生態系は、人が利用目的に応じて手を加えることで生まれ、維持されてきました。しかし、近年の人口減少や少子高齢化により、里山が管理されなくなることが増え、生態系にも変化が現れています。このままでは、豊かな生物多様性が失われることが懸念されています。
これまでは地域の人々が中心となって里山を守ってきましたが、都市への人口集中や少子高齢化の進行により、地域コミュニティだけでの管理が難しくなっています。そこで、自然豊かな日本の共通資源として里山を捉え、その地域外の人々にも関わってもらう取り組みが進められています。
環境省も里地里山における「新たな共同利用」を推進しています。以下にその理想的な姿を引用します。
「新たな共同管理」の推進により実現される里地里山のイメージ
●健全な農地の生態系を活かして農家と地域の学校の生徒たちが一緒に生物の調査を行い、地域内に豊かな人のつながりが生まれている。
●二次林・人工林・農地などが一体となった里地里山では、多様な土地利用と都市住民を含む多様な主体の連携・協働を通じて、さまざまなタイプの生態系が混在する状態が復活している。
美しい風景が保たれ、それに惹かれて移り住む都市住民や外国からの観光客が増え、エコツーリズムの浸透もあり、生き生きとした地域づくりが実現している。
●里地里山の価値が広く国民に認識され、公的または民間の資金やボランティアによる維持管理が支えられるようになっている。
地域の特定の人々だけに負担がかからないようにし、大人から子ども、地域外や外国の方々にも里山を楽しんでもらえるよう、全国でさまざまな活動が行われています。
詳しくは環境省の資料(PDF)をご確認ください。この資料には里山保全活動の全容がわかりやすくまとめられています。自治体、個人、民間団体、企業が一緒になって組織的に動く必要性が強調されています。
【参考リンク(PDF)】 多様な主体で支える地域の里地里山づくり(環境省)
里山活動の具体例
里山活動にはさまざまな形があります。ここでは、各自治体や地元の有志によって開催されている、実際に体験できる里山活動を紹介します。
森林保全活動
森林保全活動では、間伐や下刈りといった作業を通じて、森林を健康な状態に保つことを目指します。これらの作業は、過密状態を解消し、木々が健やかに育つ環境を整えるために行われます。体験イベントでは、専門家の指導のもとで実際に間伐作業を行いながら、森林の役割や環境問題について学ぶことができます。
田畑の手入れ
農地の手入れは、一般の方々にも参加しやすい活動です。例えば、農作業の手伝いとして、種まきや田植え、収穫などの体験イベントが各地で開催されています。春の種まきから夏の草刈り、秋の収穫まで、一年を通じて季節ごとの農作業を体験することで、自然の恵みやその背後にある努力を実感することができます。
生物調査
生物調査は、地域の学校や研究機関と協力して行われることが多く、生態系の保全に重要な役割を果たしています。子どもたちや市民が参加し、専門家と一緒に地域の生物を調査することで、生物多様性の重要性を学ぶ機会を提供します。また、このような活動を通じて、地域社会のつながりも深まります。
エコツーリズム
エコツーリズムは、自然環境を楽しみながら、その保全に貢献する新しい観光の形です。里山でのハイキングやキャンプ、自然観察ツアーなどが人気で、都市住民や外国からの観光客に里山の魅力を伝える絶好の機会となっています。これにより、地域の経済も活性化します。
これらの里山活動は、誰でも参加できるものが多く、体験を通じて自然の大切さや地域の文化を学ぶことができます。地域の方々と一緒に活動することで、新しいコミュニティが生まれ、持続可能な社会づくりに貢献することができます。
未来の地域と人を作る里山暮らし
かつて、里山の暮らしは地域全体の協力で成り立っていました。現代においても、地域間での協力や知恵の共有が、里山の維持と豊かな生活を支える鍵となります。人口減少や高齢化が進む中、失われつつある里山の価値を再評価し、未来に向けて新しい里山の形を築いていくことが必要です。
現代技術との融合
里山暮らしを考えると、昔の生活に戻ることが理想とされがちですが、私はそうではありません。人口減少や少子高齢化の現実を踏まえると、昔に戻るだけではなく、現代の技術と融合した新しい里山暮らしこそが未来の街の姿だと考えています。
近年、IT技術とネット環境の急速な発展により、地方に住みながら都市の仕事をすることが可能になりました。コロナ禍を経て、テレワークが普及し、オンラインを活用した新しい生活スタイルが広がっています。これにより、働き方の自由度が広がり、自然豊かな環境で生活しながら都市の仕事に従事することができるようになりました。
私自身、豊かな自然に囲まれた家で暮らしながら、最新の技術を駆使して仕事をすることが理想の生活だと感じています。自然の中でリラックスしながら働くことで、生活の質も向上します。
自然体験と地域コミュニティ
オンライン教育の普及により、IT環境の整備不足や教育格差が問題視されています。また、オンラインだけでは得られない人と人とのつながりや自然体験の重要性も浮き彫りになっています。
私は、自然と触れ合いながら学ぶことが、子どもたちにとって非常に重要だと考えています。自然体験を通じて、子どもたちは問題解決能力や豊かな人間性を育むことができます。植物や生物と触れ合うことで、生命の大切さを学び、発想力や創造力を養うことができるのです。
里山の知恵と技術を未来へ繋ぐ
里山は昔から、家を建てる木材、燃料、食料、水など、生活に必要な資源を提供してきました。これらの知恵と技術は何千年にもわたって受け継がれてきましたが、現代ではそれを意識的に守り、次世代に伝える努力が求められています。
現在、地域の価値を広め、次世代の担い手を育てるためのさまざまな取り組みが進められています。地域の人々が協力し合い、里山の保全活動や教育プログラムを通じて、伝統的な知恵や技術を次世代に伝えていくことが重要です。里山の持つ価値を再発見し、未来へと繋げることはとても重要なミッションです。
新しい時代の里山暮らしは未来を創る
里山は過去の遺産であるだけでなく、未来を創るための大切な資源でもあります。昔ながらの暮らしの良いところを残し、人手不足は最新のテクノロジーで補う。働きやすい環境で仕事をしながら経済に貢献し、地域コミュニティで社会に貢献する。里山が枯れないよう活動を通じて自分たちの地域を守っていく暮らしの仕組みが、循環性のある未来型の里山だと思っています。
こうして記事を書くことは容易ですが、実現するためには様々な制限があり困難です。しかし、その中でも自分なりに行動し、小さくても未来の里山作りに貢献していきたいと思っています。