登山映画で山歩きの酸いも甘いも体感!邦画&洋画の厳選6本

登山映画は、山を舞台に繰り広げられるヒューマンドラマや遭難事故からの脱出など、心温まるものからハラハラするものまで実にさまざま。普段の山歩きとは少し違う大自然の厳しさや畏怖を知ることで、逆に「やっぱり山が好きだな」と再確認できるはずです。今回は、そんな“山の酸いも甘いも”をまるごと味わいながら、山歩きをもっと好きになれる邦画&洋画の名作6本を厳選してご紹介します。

これだけは観ておきたい!邦画の登山映画

山小屋を舞台にした家族愛の物語から、山岳救助の緊迫感あふれるドラマ、そして世界最高峰へのあくなき挑戦まで。日本の登山映画には、山の美しさや厳しさ、人間の葛藤が凝縮された3本です。

1)山小屋が舞台の家族物語「春を背負って」

笹本稜平の同名小説を原作に、日本映画界を代表するカメラマンの木村大作が監督を務め、2014年に公開されました。立山連峰・大汝山の圧倒的な映像美を背景に、東京の外資系投資銀行で働く長峰亨(松山ケンイチ)が、厳格な父・勇夫(小林薫)の急死をきっかけに山小屋を継ぐ決意をする物語です。

遭難しかかっていたところを勇夫に助けられた高澤愛(蒼井優)が山小屋を手伝い、さらに勇夫の友人・悟郎(豊川悦司)が訪れて「息子を一人前にしてくれと夢で頼まれた」と語りながら亨を見守ります。雄大な自然のなかで、新しい人生と向き合う亨の姿が描かれ、道中で交わされる「ゆっくりでいい。一歩一歩負けないように自分の力で普通に歩けばいい」「自分の足で歩いた距離だけが宝になる」などの名言が、観る者の胸に深く響くヒューマンドラマに仕上がっています。

作品概要

  • 原作:笹本稜平の同名小説
  • 監督:日本映画界を代表するカメラマン・木村大作
  • 公開:2014年
  • 舞台:立山連峰・大汝山

こんな人におすすめ

  • 山の映像美を味わいたい方
  • 家族や人生の価値観を見つめ直したい方
  • 新しい一歩を踏み出す勇気がほしい方

登山映画の感想

立山連峰の壮大な景色とともに、主人公の葛藤や成長をじっくりと追体験できる作品です。厳しい自然のなかで生き方を模索する亨の姿は、私たちにも「自分らしく歩む大切さ」を気づかせてくれます。心にしみる名言の数々が、山と人生の深いつながりを教えてくれると感じました。

2)大人気マンガを映画化した山岳救助の話「岳」

石塚真一の人気漫画「岳 みんなの山」を実写映画化した作品で、山岳救助隊の活動を題材にしています。主人公の島崎三歩(小栗旬)は山をこよなく愛し、民間の山岳遭難防止対策協会でボランティア救助隊員として活動しています。

彼のもとに新人隊員の椎名久美(長澤まさみ)が加わり、過酷な現場経験を重ねるうちに助けられなかった人への無力感に苦しみますが、猛吹雪による多重遭難事故が発生したとき、チームや三歩に支えられながら危機に立ち向かいます。

北アルプスの美しく厳しい景色がスクリーンいっぱいに広がり、「山バカ」と呼ばれる三歩の温かい人柄や、仲間とともに成長していく久美の姿が見どころです。救助の緊張感と人間味が詰まった作品で、山好きでなくても楽しめる青春ドラマに仕上がっています。

作品概要

  • 原作:石塚真一「岳 みんなの山」
  • 公開:2011年
  • 舞台:北アルプス周辺
  • 主演:小栗旬、長澤まさみ

こんな人におすすめ

  • 山岳救助の緊迫感やドラマを味わいたい方
  • 仲間とのチームワークにワクワクする方
  • 山を舞台にした青春ストーリーが好きな方

登山映画の感想

厳しい自然のなかで人を救うという使命感と、救助活動に奮闘する若者たちの青春がうまく絡み合い、観ている側も思わず胸が熱くなります。北アルプスの壮麗な風景はもちろん、主人公の無邪気なほどの“山愛”に癒やされながらも、山の怖さや命の大切さを改めて考えさせられる作品だと思いました。マンガも是非チェックください。

3)あくなき山への挑戦「神々の山嶺」

夢枕獏が「小説すばる」で連載していた長編小説を原作に、約20年の時を経て「エヴェレスト 神々の山嶺」としてスクリーンに登場した作品です。世界最高峰エベレストで実際の高地撮影が行われ、その圧倒的なスケールと高度感を体感できるのが大きな魅力となっています。

クライマー兼山岳カメラマンの深町(岡田准一)は、ネパール・カトマンズで山岳史上最大の謎を秘めた古いカメラを発見し、その真相を追うなかで孤高の天才クライマー・羽生(阿部寛)と出会います。羽生は前人未到のルートでエベレスト登頂を目指しており、深町はその壮絶な挑戦を撮影するため、過酷な高地へ足を踏み入れていきます。死の危険と隣り合わせの極限世界で、なぜ人は山に挑み続けるのか。男たちのあくなき情熱とロマンが詰まった作品です。

作品概要

  • 原作:夢枕獏「神々の山嶺」
  • 映画化:『エヴェレスト 神々の山嶺』として2016年公開
  • 舞台:エベレスト(世界最高峰)
  • 主演:岡田准一、阿部寛

こんな人におすすめ

  • 世界最高峰のスケール感を映像で体感したい方
  • 極限に挑むクライマーの心理やドラマに興味がある方
  • 自分の限界に挑戦したくなるような作品を求めている方

映画の感想

エベレストの実写映像は圧巻で、極限の地で生と死が紙一重であることがひしひしと伝わってきます。主人公たちが危険と隣り合わせの世界に身を投じる理由や、どこまでも突き進む探究心には、同じ山好きとして震えるものがありました。スリリングな山の描写と、登る者たちの熱い思いに心を揺さぶられる作品です。

壮大な景色に魅了される!洋画の登山映画

北アメリカの大自然を縦断する冒険や、1600キロの荒野を行く女性の実話、世界最高峰エベレストの大量遭難。洋画の登山映画には壮大なスケールと心を揺さぶる人間ドラマが詰まっています。スリルとロマンを同時に味わえる3作品を紹介します。

4)山歩きのロマン「ロング・トレイル!」

2015年にアメリカで公開された冒険映画『ロング・トレイル!』は、北アメリカ全長3500kmのアパラチアン・トレイルを舞台に、人生の再スタートを模索する主人公ビル(ロバート・レッドフォード)の旅を描いています。

英国暮らしを終えて米国に戻ったビルは、セミリタイア生活のなかで漠然とした退屈を感じていましたが、ある日目にしたトレイルの標識がきっかけで過酷な旅に挑む決意をします。ところが、いつの間にか疎遠になっていた旧友カッツ(ニック・ノルティ)も同行を申し出たことで、思わぬ珍道中が始まることに。

険しい山道や年齢的な体力の限界を痛感しながらも、互いの過去や本音を語り合い、さまざまなトラブルを乗り越えていくなかで、彼らの友情は深まり、旅の意味や人生のロマンを改めて見つめ直すことになります。ユーモラスなやりとりと雄大な自然の映像美が魅力で、観る者を「歩くこと」の大切さに気づかせてくれる作品です。

作品概要

  • 公開:2015年
  • 国:アメリカ合衆国
  • 監督:ケン・クワピス
  • 主演:ロバート・レッドフォード、ニック・ノルティ、エマ・トンプソン

こんな人におすすめ

  • 大自然のなかで繰り広げられるユーモアあるロードムービーを楽しみたい方
  • 年齢を重ねても新しい挑戦をしたいと考えている方
  • 旅や人生そのものをゆったり見つめ直したい方

登山映画の感想

過酷なアパラチアン・トレイルを舞台にしながらも、どこかほのぼのとした雰囲気を感じられる作品だと思いました。老いや体力の限界など避けられない現実を前にしつつも、諦めずに前へ進む姿が印象的で、「結果よりも、ベストを尽くす過程こそが大切」というメッセージが心に響きます。観終わったあとは、不思議と気持ちが晴れやかになる映画です。

5)自分探しの旅「わたしに会うまでの1600キロ」

2014年にアメリカで公開された映画で、原作はシェリル・ストレイドの自叙伝『Wild』です。主人公のシェリル(リース・ウィザースプーン)は、最愛の母(ローラ・ダーン)を癌で失ってから立ち直れず、男遊びやヘロインに溺れて夫とも離婚という、まさにどん底の生活を送っていました。

そんな自分を変えるため、彼女はパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)を3カ月かけて1600キロ歩く旅に挑戦することを決意します。しかし、ザックは必要以上に重く、荒涼とした自然の厳しさは想像をはるかに超えるものでした。女性ひとりゆえの危険も多く、命を脅かされる場面も少なくありません。

それでも道中で出会う人々や広大な自然の力に支えられ、シェリルは失っていた自分らしさを少しずつ取り戻していきます。“歩き続ける”ことを通じて、心の奥底にしまい込んでいた痛みや後悔に正面から向き合い、再び希望を見出す姿が胸を打つロードムービーです。人間の弱さや強さを同時に描き出し、観る者に勇気を与えてくれます。

作品概要

  • 公開:2014年
  • 国:アメリカ合衆国
  • 原作:シェリル・ストレイド「Wild」
  • 主演:リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン

こんな人におすすめ

  • ロードムービーを通じて“自分探し”の旅に出たい方
  • 女性の視点から描かれるリアルな冒険記に興味がある方
  • 人生のどん底から立ち上がる物語に勇気をもらいたい方

登山映画の感想

シェリルが苦しみの中から一歩ずつ前に進んでいく姿に力強さを感じました。特に、道中でのさまざまな出会いと、自分との対話を重ねて自分自身を再生していく過程は観ていて心を揺さぶられます。女性ならではの困難や恐怖を乗り越えていくリアルさがあり、ロードムービーでありながら深い人間ドラマを感じました。観ると「もう少し自分を信じて踏み出してみよう」と思える作品です。

6)大量遭難事故を映画化「エベレスト 3D」

2015年にアメリカで公開された映画で、1996年5月にエベレストで実際に起きた大量遭難事故を題材にしています。世界最高峰に挑むベテラン登山家たちは、それぞれの思いや夢を胸に頂上アタックに臨みますが、固定ロープの不備や参加者の体調不良などが重なり、下山が大幅に遅れてしまいます。

さらに大型の低気圧が直撃し、過酷を極める“デス・ゾーン”で遭難者が続出。極限状態でむき出しになる人間の心理や、下界で必死に祈る家族の思いが切実に伝わり、決してハッピーエンドとはいえないものの、生きることの尊さを強く感じさせてくれます。

3D映像で再現されたエベレストの圧倒的なスケールは、あたかも自分が雪と氷の世界に放り出されたような恐怖を呼び起こすほどです。自然の猛威と人間の限界が交差するドラマは、観る者の胸を揺さぶり続け、山への畏怖と命への感謝を深く刻む作品といえるでしょう。

作品概要

  • 公開:2015年
  • 国:アメリカ合衆国
  • 監督:バルタザール・コルマウクル
  • 原作:実際に起きた1996年のエベレスト大量遭難事故

こんな人におすすめ

  • 事実に基づく山岳遭難映画に興味がある方
  • 極限状態における人間の心理やドラマを考えたい方
  • 圧倒的な映像体験を求めている方

登山映画の感想

3D映像によるエベレストの描写は迫力満点で、登頂の困難さや自然の恐怖を実感できる仕上がりだと感じました。大量遭難という重いテーマなだけに決して後味の良い作品ではありませんが、生きることへの執念や、命を懸けて挑戦する登山家たちの思いが心に突き刺さります。自然を甘く見ることの怖さと、人間同士の絆や自己犠牲精神など、さまざまな感情が渦巻く作品です。臨場感あふれる映像体験で、視聴後も深く考えさせられると思いました。

山の魅力を映画で味わおう

山歩きがもっと好きになる映画として、今回はなるべく激しいアクションよりも、山を通じて描かれる人と人との物語を中心にご紹介しました。登山映画はどうしても生死にかかわるストーリーが多いのですが、その分、雄大な自然が人の心を揺さぶり、思わぬドラマを生み出すのが魅力です。

実際に山へ行きたくても、急な天候不良や寝坊などで出発を諦めざるを得ないときもあるかもしれません。そんなときは、登山映画を楽しみながら気分を高めてみてはいかがでしょうか。映画を通じて山の美しさや厳しさを疑似体験し、次に実際に山を訪れたとき、いつも以上に新鮮な感動が味わえるかもしれません。

今回紹介した登山映画の原作

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