登山におすすめの双眼鏡。倍率の選び方と山での楽しみ方

登山の楽しみは、山を登ることだけではありません。道中で出会う草花や鳥の姿、遠くに広がる景色も魅力のひとつです。

「もう少し近くで見てみたい」──そんな気持ちになることもありますが、登山道を外れて近づくのはマナー違反。そこで役立つのが双眼鏡です。

小さくて軽い双眼鏡がひとつあるだけで、自然観察の楽しみがぐっと広がります。この記事では、登山におすすめの双眼鏡の選び方と、山ならではの使い方をご紹介します。

登山に双眼鏡は必要?

登山では荷物を減らすのが基本。そんな中で、双眼鏡をわざわざ持って行く意味はあるのでしょうか。たしかに、バードウォッチングや植物観察といった目的が思い浮かびます。でも、実際にはそれ以上に、山での体験を広げてくれる道具でもあります。

たとえば、遠くに見える山の稜線や街並みを双眼鏡でじっくり観察すれば、普段とは違った景色に気づくことも。北アルプスから槍ヶ岳をとらえたり、関東の山からスカイツリーを探してみたり──そんな楽しみ方もできます。

また、登山道の先を確認して混雑状況を見たり、動物の気配を察知するためにも役立ちます。必要な場面で素早く状況を把握できるという点でも、登山における「視野を広げる道具」として活躍してくれます。

登山に最適な双眼鏡を選ぶ5つのポイント

登山で活用する双眼鏡選びで大切なのは、以下の5つです。

  • 軽くてコンパクトなものを選ぶ
  • 防水仕様は必須
  • 倍率は6〜8倍がちょうどいい
  • 価格は2万円以内が目安
  • お試しなら数千円のものでもOK

登山では長時間にわたって荷物を背負って歩くため、装備の軽量化はとても重要です。双眼鏡も例外ではなく、できるだけ軽くてコンパクトなモデルを選ぶことで携帯性が高まり、使いたいときにすぐに取り出せます。重すぎると行動を妨げる要因にもなりかねません。

また、山の天候は変わりやすく晴れていたかと思えば急に雨に降られることもあります。そのため、防水仕様であるかどうかは安心して使うための大切なポイントです。アウトドア向けの製品であれば、防塵・防滴・耐衝撃などの性能もチェックしておくと安心です。

気になる倍率は、6〜8倍程度が登山では扱いやすいとされています。倍率が高くなるほど遠くのものが見える反面、本体が大きく重くなり、手ブレの影響も大きくなってしまいます。山歩きの途中でさっと取り出して観察するには、ほどよい倍率と軽さのバランスが大切です。

双眼鏡の価格帯は実にさまざまで数千円から数十万円までピンキリですが、登山で自然観察や景色を楽しむ用途であれば、2万円以内のモデルでも十分な性能があります。バードウォッチングや星空観察など特定の目的がある場合は、より高性能なモデルを検討してもよいでしょう。

「まずは試してみたい」という方であれば、数千円程度のエントリーモデルから始めるのもひとつの手。軽くて扱いやすいものを選んで気軽に取り入れましょう。

登山におすすめの双眼鏡【厳選4選】

登山で使いやすく、自然観察にも適した双眼鏡を4つ厳選してご紹介します。いずれも軽量・コンパクトで、防水仕様のモデルばかり。初心者の方でも扱いやすく、アウトドアでの使用にぴったりです。目的や予算に応じて、自分に合った一本を見つけてみてください。

OLYMPUS(オリンパス):8×25 WP II

軽くて丈夫で、ちゃんと見える。登山に持っていく双眼鏡として、バランスがとてもいいモデルです。260gと軽量で、折りたたむとかなりコンパクト。窒素ガス充填の完全防水タイプなので、急な雨や水辺でも安心して使えます。

レンズは25mmで明るく、視界もクリア。レンズ全面の多層膜コーティングやフェイズコート、BaK4プリズムなど、光学性能もしっかりしていて、このサイズ感ではかなり信頼できます。最短1.5mまでピントが合うので、遠くだけじゃなく、近くの花や枝にとまった鳥を観察するのにもぴったりです。

見た目もアウトドア向けの落ち着いた色味で、収納ケースやストラップも付属。自然の中でしっかり使える1台です。

Kenko(ケンコー):SG-H 10×24

軽さと見やすさのバランスがちょうどいい、エントリー向けのコンパクト双眼鏡。10倍×24mmというスペックながら、本体は約258gと軽量で、2軸式で折りたためばバッグのすき間にもすっきり収まります。登山はもちろん、旅行や観劇など幅広く使える万能モデルです。

レンズはマルチコート仕様で、抜けのよいクリアな視界を確保。倍率10倍とやや高めですが、比較的視野も広く、遠くの稜線や野鳥の姿をしっかり捉えるのに向いています。眼幅調整も幅広く、小さなお子さんや女性でも使いやすい設計です。

レンズ口径は24mmなので、星空観察などにはやや光量が足りないかもしれませんが、日中の自然観察や景色を楽しむには十分。「とにかく軽くて高倍率のものが欲しい」という方には、コスパの高い選択肢としておすすめできます。

Vixen(ビクセン):アトレックII HR8×32WP

しっかり観たい人向けの、ちょっと頼もしい1台。コンパクトながら口径32mmで視界がとても明るく、曇り空の下や森の中など、光が少ない状況でも安心して使えます。明るさは16.0と高く、野鳥や動物の観察にもぴったり。

PFMコート(高性能マルチコート)により、像のコントラストも高くクリア。ハイアイポイント設計なので、長時間のぞいても疲れにくく、眼鏡をかけたままでも広い視界が得られます。もちろん防水仕様で、ラバーボディで耐久性も◎。

登山中の観察はもちろん、キャンプや天体観察、ちょっと本格的に楽しみたい人にもおすすめのモデルです。明るさと見やすさを重視したい方には、フィールド問わず活躍してくれる相棒になるはずです。

Nikon(ニコン):スポーツスターEX 8x25D CF

300gと軽量コンパクトで、見た目以上に頼りになる1台。2軸折りたたみ式の小型設計で持ち運びやすく、防水性能は水深2mに5分間浸けても問題ないレベル。登山やアウトドアだけでなく、旅行やスポーツ観戦にも幅広く使えます。

視野が広く(実視界8.2°)、最短2.5mまでピントが合うので、遠くの山並みから近くの枝先の鳥までしっかり観察できます。接眼部はターンスライド方式で調整も簡単。眼鏡の上からでも自然にのぞける設計です。

カメラと違って“撮る”ことを考えず、ただ「見る」ことに集中できるのが双眼鏡の良さ。気軽に構えて、ただ観る。自然と向き合う時間がぐっと豊かになる1台です。登山中、野鳥との距離が近づく感覚をぜひ味わってみてください。

登山ならではの双眼鏡の使い方

双眼鏡はただ“遠くを見るための道具”ではありません。登山という特別な環境のなかで、風景や生き物との関わりをより深く味わうための道具です。ここでは、山ならではの3つの活用シーンをご紹介します。

バードウォッチングで細部の美しさに気づく

登山中に双眼鏡を使ってまず試してみたいのが野鳥の観察。山ではスズメやヒヨドリのような身近な鳥はもちろん、運が良ければ雷鳥のような山岳地帯特有の鳥に出会えることもあります。双眼鏡をのぞけば羽の模様や色彩、しぐさなどが驚くほどはっきり見えて自然のディテールに心を奪われるはずです。

ただし、野生動物との距離感には注意が必要。近づきすぎるのは危険ですし、マナー違反にもなります。双眼鏡があれば動物たちの生活を邪魔することなく、ほどよい距離からそっと見守ることができます。

遠くの山並みをじっくりと眺める

登山道の途中や山頂からの眺望ポイントでは、双眼鏡を使って遠くの山並みを観察してみるのもおすすめです。肉眼ではぼんやりとしか見えなかった稜線や地形が、くっきりと立体的に見えてくるはずです。

尖った山頂が印象的な槍ヶ岳や、切り立ったテーブルのような形が特徴的な荒船山など、個性的な山の姿を探し出すのもひとつの楽しみ。

「あれは◯◯岳かな?」と地図やアプリを照らし合わせながら見る時間は、ちょっとした山岳クイズのようでもあり、山歩きのワンシーンを豊かにしてくれます。

星空観察で“夜の山”を楽しむ

街の灯りが届かない山の夜は、満天の星がすぐそこに浮かんでいるように感じられます。双眼鏡を使えば、星座のつながりや星の瞬きがより立体的に見え、肉眼とはまた違った世界が広がります。

星空観察用としても、倍率は8倍前後で十分です。これ以上高くなると視野が狭まり、星の配置がつかみにくくなってしまいます。明るさを確保するにはレンズの口径(=対物レンズの大きさ)がポイントで、30mm〜50mm程度が目安です。

50mmは本格的な星見には理想的ですが、そのぶん双眼鏡自体が重くかさばるので登山中に持ち歩くにはややハードに。日中の観察にも使いたいなら30mm台のモデルが扱いやすいバランスです。

登山スタイルに合う双眼鏡を旅のお供に!

登山装備のなかで、双眼鏡は必須ではないかもしれません。けれど、トレッキングやハイキングのようにゆとりある山歩きを楽しむスタイルには、自然との関わり方を一段深めてくれる頼もしい道具です。

遠くの稜線をたどったり、枝先の野鳥を観察したりと双眼鏡を通して見えてくるのは、肉眼では見落としていた山の表情かもしれません。

どんな双眼鏡が登山に向いているのか改めて確認しておきます。

  • 軽くてコンパクトなものを選ぶ
  • 防水仕様は必須
  • 倍率は6〜8倍がちょうどいい
  • 価格は2万円以内が目安
  • お試しなら数千円のものでもOK

これらはあくまでひとつの目安です。使う目的や山行スタイルに合わせて、自分のスタイルに合う1台を選んで、次の山歩きをもっと楽しい時間にしてみてください。

登山で双眼鏡を使いたくなる本

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