登山マナーを知っておこう!山でのあいさつや山小屋など10のポイント

登山にも、他の活動と同様にマナーやルールがあります。しかし、山岳会や登山サークル、友人から教えてもらわない限り、これらのマナーやルールを知る機会は少ないかもしれません。絶対に守らなければならないというわけではありませんが、みんなが快適に登山を楽しむためには一定の基準が必要です。基礎知識として、山のマナーやルールの10のポイントを紹介します。

1. 山でのあいさつ

山登りで驚くのは、すれ違う人とのあいさつです。街中では挨拶をしないので、不思議な光景に映るかもしれませんが、山では「こんにちは」「おはようございます」とすれ違う人にあいさつします。ハイキングがメインの山道で人が多いときは、あいさつなしでも構いません。状況に応じて判断しましょう。登山中の挨拶では次の意味が含まれています。

警戒心を解くため

登山では人に対しても警戒しがちですが、あいさつすることで不安が和らぎます。特にソロ登山者にとっては、他の登山者とのあいさつは安心感を与える要素となります。

情報共有のため

道や目的地の情報を共有するために、あいさつは役立ちます。例えば、「この先の道がぬかるんでいるので注意してください」といったアドバイスをもらうことがあります。

気持ちいいの良いコミュニケーションとして

あいさつするだけで気持ちが良くなります。あいさつが返ってこなくても、気にしないようにしましょう。例えば、登りがきつくて余裕がない場合や、聞こえていない場合もあります。

2. ごみは捨てずに必ず持ち帰る

山ではごみを捨ててはいけません。山小屋で買ったものに関しては引き取ってくれる場合もありますが、基本的には自分で持ち帰るのがルールです。ゴミ袋を用意し、家に持ち帰って捨てましょう。

特にお菓子の包装紙やペットボトルのキャップなど、小さなゴミも風で飛ばされやすいので、ポケットに入れておくと知らない間に落としてしまうことがありますので注意しましょう。

3. 基本的に登りの人を優先する

登山では基本的に登りの人が優先です。登りの方は下を向いて歩くことが多く、こちらに気づかない場合もあるため、道が狭い時は道を譲るようにしましょう。狭い道では無理せず、お互いの安全を確保してから譲り合うことが大事です。

特に険しい坂道や岩場などでは、登りの人が優先されることが多いです。登る際の負担が大きいため、ペースを乱さずに進むためにも道を譲ってもらえると助かります。また、登りの方が下りよりも視界が狭く、周囲の状況を把握しづらいので、下りの人が気をつけて道を譲ることが重要です。

4. 登山道をふさがない

登山道は道幅が狭く、二人並ぶだけで道がふさがってしまいます。話しながらの登山は楽しいですが、道が狭い場合は横に並ばずに道をふさがないようにしましょう。また、人数が多いツアーや団体の場合はどうしても歩くペースが遅くなってしまいます。そのため、後ろからペースの速い人が来た場合は、状況に合わせて先に行ってもらうようにします。

写真撮影に夢中になって道をふさいでしまうこともありますので、周囲に気を配ることを忘れないようにしましょう。また、休憩時も道の中央に座り込まず、道の端や広い場所を選んで休むよう心掛けてください。

5. 植物を採ったり、動物にエサを与えたりしない

山に自生している花や植物には希少価値の高いものもあります。また、国立公園特別保護地区に指定されている場所では「自然保護法」により植物の採取や損傷が禁止されています。登山道を離れないようにし、自然環境を守ることを心掛けましょう。

動物にエサを与えることも禁止です。例えば、シカやカモシカにエサを与えると、彼らが人間に依存してしまい、自然の中で自力で生きていく力を失ってしまいます。また、エサを与えられた動物が増えることで、生態系に悪影響を与える可能性もあります。

過去には、雷鳥の雛を触ってしまい問題になったケースもあります。野生動物は人間の匂いに敏感で、人間の匂いが付いたことで親鳥が雛を避けるようになり、生存に影響を与えることがあります。このような事態を避けるためにも、動植物に触れないようにしましょう。

6. 落石に注意する

登山道では、特にガレ場や急斜面で落石を起こさないように注意が必要です。落石は下にいる登山者に重大な危険をもたらすため、慎重に足を運びましょう。石や岩を踏んだ際には、しっかりとバランスを取って転がさないように気を付けます。

もし落石を起こしてしまった場合は、すぐに「落石!」や「ラーク!」などと大声で知らせ、下にいる登山者に警告を発します。とにかく大声を出すことが重要で、これにより、下の登山者が落石から身を守る時間を確保できます。

7. 公共交通機関を利用する際のマナー

登山口まで公共交通機関を利用する場合、他の乗客に迷惑をかけないように気を付けましょう。大きなザックは網棚に載せるか、足元に置くようにし、通路をふさがないようにします。ストックやピッケルなどは、ザックの外側に固定せず、手に持つかザックの中に収納しましょう。

帰りの電車やバス内でも同様に、ザックを置く場所や取り扱いに注意します。汚れた登山靴やザックが他の乗客に不快感を与えないよう、ザックカバーを使用するなどして配慮しましょう。

8. トイレの利用方法に注意する

登山コース中のトイレの場所をあらかじめ確認しておき、登山道に入る前に必ずトイレを利用しましょう。山のトイレは限られた資源を使っているため、利用方法に注意が必要です。使用済みのトイレットペーパーはゴミ箱に捨てる、利用後は水を流すなど、注意書きをよく読み、ルールを守りましょう。

山小屋のトイレを利用する際は、協力金や利用料を支払うことも大切です。山小屋の維持管理には多大な費用がかかるため、少額でも支払うことで山の環境保護に貢献できます。また、トイレを利用する前後に手を洗う場所がない場合は、携帯用の手指消毒剤を持参すると良いでしょう。

また、どうしてもトイレがない場所で用便をする場合は、安全な場所を選び、土に少し穴を掘って行い、使用した紙は密閉袋に入れて持ち帰ります。携帯トイレを持参することも検討しましょう。

9. 山小屋やテント場のルールを守る

山小屋やテント場では、それぞれの場所で定められたルールを守ることが求められます。以下の具体的なポイントに注意して、快適な滞在を心がけましょう。

食事と風呂の時間を厳守する

山小屋では食事の時間や風呂の時間が決められています。これらの時間は共同生活をスムーズにするためのものなので、必ず守りましょう。特に食事時間を過ぎてから食堂を利用することは避けてください。

共有スペースでのマナー

他の登山者と共有するスペースでは、声を抑え、静かに行動しましょう。特に夜間や早朝は他の人が休んでいることが多いので、大声での会話や物音を立てるのは控えましょう。ヘッドランプを使う際も、他人の顔に光を当てないように配慮してください。

荷物の整理整頓

自分の荷物はできるだけコンパクトにまとめ、他の人の邪魔にならないようにしましょう。山小屋やテント場ではスペースが限られているため、散らかさないことが大切です。特に共用の通路や出入り口付近に荷物を置かないように気を付けましょう。

他人の道具に気を付ける

山小屋やテント場では多くの人が同じような装備を持っています。自分の持ち物には名前や目印を付けて、他人の道具と間違えないようにしましょう。特に靴やストックなど、間違えやすいアイテムには注意が必要です。

夜遅くまで騒がず、消灯時間を守る

山小屋やテント場では、早寝早起きが基本です。夜遅くまで騒ぐことは他の登山者に迷惑をかけるため、お酒を飲む場合も控えめにし、遅くまで宴会をすることは避けましょう。お酒を飲む場合は普段の半分程度にとどめ、酔い過ぎないように心掛けてください。また、多くの山小屋では消灯時間が設定されています。消灯時間を過ぎても他の登山者が静かに休めるよう、ヘッドランプや懐中電灯の使用を控え、静かに過ごしましょう。特に大部屋では、他の登山者に配慮して行動することが求められます。

山小屋の指示に従う

山小屋のスタッフが指示するルールや注意事項には必ず従いましょう。これは、全員が安全かつ快適に過ごすために必要なことです。

これらの具体的なポイントを守ることで、山小屋やテント場での生活がより快適になり、他の登山者とも気持ちよく過ごすことができます。

10.山への負荷を最小限(ローインパクト)に抑える

登山者が増えると、人気のある山域では環境負荷が増加し、自然破壊が進行する可能性があります。そのため、自然環境への影響を最小限に抑える「ローインパクト」を心がけましょう。

まず、登山道から外れないことが重要です。道から外れて歩くと、植物を踏み荒らし、生態系にダメージを与える原因となります。特に高山植物が咲き乱れるエリアでは、一度踏み荒らすと再生が困難です。また、写真撮影やコースをショートカットするために、立ち入り禁止のロープを越えて踏み入ることも避けましょう。

さらに、ストックを使用する際には、石突きにキャップを装着し、登山道から外れた場所に突かないように気をつけます。これにより、植物の損傷や土壌の侵食を防ぐことができます。石突きにキャップを装着することで、登山道を歩く際に植物や土壌に与える影響を軽減し、環境保護に貢献できます。

環境保護の観点からも、自然に配慮した行動を心がけ、未来の登山者に美しい山を残すために意識しましょう。

登山マナーを守り安全で快適な登山を

今回ご紹介した山のマナーやルールは、難しいことや絶対に守らなければならないものではありません。安全を第一に考え、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。挨拶がなかったり、登りの際に道を譲ってもらえなかった場合でも、イライラせず、相手が気付かなかっただけかもしれないと考え、気にしないようにしましょう。

登山マナーやルールは、すべての登山者が快適かつ安全に登山を楽しむためのものです。他の人への気遣いと自然を大切にする心を忘れず、素晴らしい登山の時間を過ごしてください。

登山入門者に役立つおすすめの本

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HIKES編集長の里山トラベル

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